日本の脅威という根本問題に戻る 大河原元駐米大使(産経新聞)
非核三原則のうち「持ち込み」の意味はその時々で変わった。「持たない、作らない」は守らなければならないが「持ち込ませず」をどう扱うかが問題だった。最初は核兵器を陸上に上げないという意味でとらえていたが、政治家の判断で「艦船の寄港も持ち込みだ」というかたくなな政策が取られるようになった。
私が駐米大使をした昭和55〜60年に、核問題で米側と難しい話をしたことはない。外務省内でもまともに議論したことはなかったと思う。米側が核の所在をコメントをしない政策をとっており、米側も日本が非核三原則を大事にしていることを知っていて、議論の必要がなかったからだ。
報告書公開後、政府がどういう政策を取るかは分からないが「持ち込ませず」とは、どういう行動になるのか。岡田克也外相が「非核三原則を見直す考えはない」と言った以上、米国はそれを尊重しなければならない。日本に核を持ち込めないことを心得た上で対応するしかない。そうなると「日本に対する脅威とは何か」という根本論に戻らざるを得ない。ただ、日米両政府は、当面は普天間飛行場の移設問題で頭がいっぱいなのではないか。(談)
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